「汐梨、これ伊織の机にあったんだけど……」


 お母さんは封筒を私に渡すとそれにはお姉ちゃんの字で【汐梨へ】と書かれていた。
 それを開封すると【心配かけてごめん。しばらく帰らない】とそれだけが書かれていた。

 お父さんは姉妹の手紙だしどこに行ったのか書いてあるかもしれないと期待していたが、二言しかない文にガックリしている。


「ほんとにどこに行ったんだ……ったく、」

「そんなに怒らないでちょうだい。汐梨がいるんだから」


 両親はあーだこーだ言っていて話は解決することはなく、時間だけが過ぎた。