「……っ、汐梨。あなたいつから……」


 ようやく気づいた両親は話を聞かれて気まづそうな表情を見せて顔を見合わせる。


「いや、今帰って来たばかりだよ。さっき、ただいまって言ったんだけど聞こえなかった?」

「そうか……あぁ、汐梨。伊織のこと知らないか?」

「朝も会ってないから分かんない……お姉ちゃんいなくなったの?」


 話の内容から姉がいなくなったんだと思っていたけどもう一度確認のために問いかける。
 だけど残念ながら彼女の行方は知らない。だって朝、私が行くときはお姉ちゃん寝ていたし顔を見ることもなく家を出たから「おはよう」さえ言ってないんだもの。


「そうなのよ、私たちも出て行った時間分からないの。私も朝早く出ていたし、お父さんはいつもどおりだったから」

「そうなんだ。お姉ちゃんがいそうなとこってどこだろう……うーん」


 アルバイト先のイタリアン専門店か、茶道教室か……あとは大学とか? 

 いろいろ挙げてみたけど、それはお母さんが連絡していたみたいで全滅だったらしい。