「そうなのね……でも、私は心配よ。悪い噂しか無いんだもの。最近全く学校来てないじゃない」
「うん。まぁ、大丈夫だよ。きっと」
不安しかないけど、藍良と話をしたら少しだけ楽になった気がする。
「何かあったら言うのよ。……あ、そうだ。これヒロくんからお土産」
「え、ハンカチ?」
「うん。大学のご友人の方と旅行に行かれたみたいでね、私とお揃いで汐梨に持って」
ヒロくんとは、藍良の許婚の名前だ。会ったこともないのにそんな人が私にお土産を買ってきてくれるなんてどんないい人なの……
「ありがとう。綺麗な刺繍ね、お礼を伝えてくれる?」
「もちろんよ、いつも汐梨の話をしてるからお揃いで可愛いなって思ってくれたみたい」
本当に可愛くて、お洗濯したらすぐに使おうと思った。
婚約者からのプレゼントとか憧れていたけどお見合い相手は、こういうのはしなさそうだなぁと少しだけ残念に思っている自分がいる。
「また、お見合いのこと教えてよ? 気になるし」
「うん、教えるね」
その後はチャイムが鳴る前に話しながら教室に戻った。