しばらく沢渡先生の背中を見つめてしまう。



(もうこうして、先生の背中を見られるのって、あと何ヶ月しか残ってないんだ……)



沢渡先生、好きだよ。

……そう伝えたい。



このところ、告白したい気持ちが膨らんでいる。

それも風船みたいに、日ごとにどんどん大きくなっていく気持ち。



……先生が私の気持ちを知ったら、どんな顔をするんだろう?





ぼんやり見ていた沢渡先生の背中が、くるっと振り返った。

先生と目が合う。

私はほんの少し慌てたけれど、でも頭を下げた。



沢渡先生はニコニコと笑って、私に向かって手招きする。

心の中で溢れる嬉しさに溺れそうになりながら、私は子犬みたいに先生のもとへかけ寄る。



「沢渡先生、どうしたんですか?」

「ちょうど良かった、黒崎さん。見てくださいよ、これ」



心なしか弾んだ声の沢渡先生の指差す方向に視線を向ける。