刹那、悪魔は莉愛を放り投げた。ガブリエルはハルバードを放り投げ、莉愛を慌てて抱き止めた。

「ふう……間に合った……」

莉愛の胸は規則正しく上下に動いている。それは彼女が生きている証だ。ただ気を失っているだけのようで安心が込み上げてくる。それを実感した刹那、ガブリエルの目の前がぼやけていく。

「あの悪魔は残念ながら逃げてしまった」

「でも、莉愛を取り戻せたらいいと思う」

ルートヴィッヒが言うと、その横でベジが慰めるように言う。だが、二人の顔には穏やかな笑みがあった。

「ううっ……」

莉愛が顔を顰め、目を開ける。莉愛の黒い瞳とガブリエルのオリーブの瞳が絡み合う。

「ガブリエルさん?」

「べ、ベッラを見捨てることはできないからな……」

急に恥ずかしさが込み上げ、ガブリエルは目を逸らす。顔や耳が赤く染まっていく。

「ガブリエルさん、ルートヴィッヒさん、ベジさん、ありがとうございます」