尖っているラテン男、エクソシストになる〜combattere〜

女性は笑顔でそう言うものの、女性の背後にいる怪物はチッと舌打ちをした後ブツブツと低い声で言い始める。

「もう仕事かよ……。あ〜あ、一億くらい空から降ってこないかな。働きたくねぇ。あの上司マジでキモいし臭いんだよ!」

怪物がそう話すたび、体がどんどん大きくなっていき、悪臭が辺りに漂い始める。吐き気を覚えたガブリエルは、作り笑いを浮かべて言った。

「ベルッチさん、そろそろ出勤時間じゃないですか?ゴミ、よかったら捨ててきますよ」

「えっ、いいの?ありがと〜!」

女性からゴミを奪うように受け取り、この場から離れるためガブリエルは走る。胃がムカムカとし、今にも吐いてしまいそうだった。悪臭がしないマンションの外まで走り、大きく息を吐いた。

今年の秋に大学生になったばかりのガブリエルは、幼い頃からあのような怪物が見えた。友達の背後に、道行く人の背後に、そして空を飛んでいたりすることもある。そして、怪物は誰かに対する恨み言や不満をいつも言っているのだ。