「その腕は?」

莉愛の腕をガブリエルは見つめ、訊ねる。細い腕に巻かれた包帯には血が滲んでいる。莉愛は「ああ」と包帯を見て困ったように笑った。

「ボウッとしていたら怪我をしてしまって……」

「そうか」

少し気まずい空気が流れる。莉愛とは話したことはないに等しかった。何を話せばいいんだ、とガブリエルが困っていると莉愛が口を開く。

「あの、ガブリエルさんの武器は一体どんなものなんですか?」

「……ハルバード」

「ハルバードって槍斧ですよね?かっこいいですね!」

「ッ!」

莉愛のふわりと笑った顔にガブリエルの胸がドクッと高鳴る。初めて感じる鼓動に戸惑いを覚えながら、ガブリエルは莉愛を見つめる。

「ガブリエルさん、よかったら一緒に練習しませんか?今日じゃなくてもいいんです。明日でも、明後日でも、ガブリエルさんの好きな時に声をかけてくれませんか?」

莉愛の言葉がスッと心に入って行く。ルートヴィッヒやフェリシアーノの言葉よりもずっと優しい言葉は、ガブリエルを傷付けることなく心に留まった。