尖っているラテン男、エクソシストになる〜combattere〜

「どうしよう……緊張してきました……」

莉愛が不安げに話すと、ベジが「……大丈夫」と言いながら微笑む。ルートヴィッヒもベジの言葉に同意するように大きく頷いていた。

「莉愛は真面目に訓練に取り組んできた。どこかの馬鹿と違ってな。……さあ、行くぞ!」

ルートヴィッヒの言葉にチクリとガブリエルの胸に痛みが走る。誰かの言葉に傷付かないように蓋をしてきたはずだった。だが、ルートヴィッヒの言葉はその蓋を貫いてガブリエルの心に傷を付けた。

「あ〜、クソ!」

ガブリエルが目を開けて体を起こすと、そこには誰もいなかった。説得をしていたはずのフェリシアーノも現場に向かったらしい。

「チッ」

何故か苛立ちを覚えながら、ガブリエルは悪魔が出たという現場へと向かう。その裏通りはここからそう遠くない。

五分ほど走り、裏通りへと来たガブリエルが目にしたのは、人にくっ付いているものよりも大きな悪魔だった。恐ろしい唸り声を上げ、鋭い爪で建物を引っ掻き、ゴミ箱を蹴散らしている。しかも悪魔は一体ではなく、五体もいた。