「今年の売り上げはチョコ研史上最高の売上額だったよ!みんなのおかげ、ありがとう!」

文化祭が終わって初めての部活は森中部長のご機嫌な電卓を叩く音と共に始まった。
クッキーを急遽追加で作ったこともあり、かなり好調で森中部長から笑みがこぼれまくってる。

それを見てそらぴょんもなんだか嬉しそうな気がするし、小鳩だって…

あれからずっと小鳩のことを考えてる。

自分でもなんでこんなに小鳩でいっぱいなのかわからない。

小鳩のことを思うと…

「柳澤さん?どうかしました?」

「えっ」

「いつも鳥みたいに騒がしい柳澤さんが大人しいなんて何かありました?」

隣に立っていた小鳩がこそっと話しかけて来た。

妙にドキッとしちゃって、恥ずかしい。

てゆーか鳥って!?何の鳥!?

「…っ、別に。私にだって静かにしたい時くらいあるの!」

「そうですか」

ふーんといった表情で小鳩が前を向いた。

文化祭でのチョコ研の功績を話す森中部長の方を。

確証を得たわけじゃないけど、そうなのなかってぐらいで絶対とは言えないんだけど、小鳩は森中部長のこと…

あ、思い出したくない。

小鳩と森中部長が話してたことなんか思い出したくない。

あの時の小鳩の顔なんか…!

「柳澤さん」

「部長の話聞いてるよ(嘘)!?だから静かにしてるんだよ!?」

「いえ、そうではなくて。告白は成功されたんですか?」

「………え!?」

目玉が飛び出るかと思った。

そんな真顔で聞いて来ないでよ。

いや、真顔なのはいつものことだけど!

「な、なんでそんなこと聞くの?興味あった…?」

「はい、チョコレートまで渡しましたしね」

小鳩が作ってくれた魔法のチョコレートはオージ先輩には渡せなかった。

未開封のチョコレートが増えてしまった。

開けられないまま2つ並べて棚にしまってある。

私にくれたチョコレートと小鳩が‘誰か’にあげるつもりだったチョコレート。