恋の♡魔法のチョコレート

「これで生地は完成なので、冷蔵庫で30分休めてあとは焼けば完成です!」

まとまった生地をラップに乗せて、切った時だいたい直径3センチぐらいの円になるように棒状に伸ばして冷やせばいいんだよね。

「あ、それとこの間にオーブンを予熱しておきます!」

うん、大丈夫!

ここまでは完璧!

教えてもらった通り!

…さぁ問題はここから。

生地を休める時間、30分。



オージ先輩と2人。



…ずっと2人だったけど!

でもクッキー作ってたから、なんとなく会話あったし、手持無沙汰になるなんてこともなかったし、でもこれから30分…


何話したらいいの?????


「詩乃ちゃんはやっぱチョコレートが1番好きなの?」

イスに座ったオージ先輩が調理実習台に頬杖をつきながら上目遣いで私を見てる。

隣のイスをトントンッとして私に座るように促した。

「…好き、です」

チョコレートが、って言っただけなのになんだか緊張して。

「おっし、じゃあ戦争する?」

「え!?」

「きのこたけのこ戦争!未だ全人類が沸々と燃える闘志を胸に抱いているあの戦い…!」

「そうなんですか!?」

にこっと笑って、オージ先輩が首を傾けた。

「詩乃ちゃんはどっち派?」

「私は、たけのこ派です」

「えっ、マジで!?うわーっ、そっち派―!?マジかぁーっ、俺もたけのこ派なんだけど!」

「今のリアクションはキノコでしたよね!?」

パーに広げた手を口に当て、大袈裟に驚いた仕草を見せる。

「じゃあ戦争にならないね、世界平和を願おう。折り鶴でも折るか。あ、俺折れないんだった」

身振り手振りにこにこしながら、だから私も一緒になって笑ってしまった。

くすくすと、でも恥ずかしくて両手で口を隠しちゃった。