やっと念願の、夢にまで見た、ずっと願い続けた…



魔法のチョコレートが手に入りました!



拍手喝采!!!



「ありがとう、小鳩!!!」

部活が始まる少し前、小鳩に呼ばれて家庭科室へ行くとすでに用意してくれていた。

可愛くラッピングまでしてくれて、どこまでも器用で職人気質なんだ。

「何度も言いますけど、ただのチョコレートで何の効能もないですからね」

「大丈夫、いっぱいパワーもらってるから!」

「何のですか」

「がんばる勇気!」

ガッツポーズして見せた。

それだけで私にとって十分意味があるから。

私に足りなかったものを補おうとしてくれる、それだけで何よりも力発揮してるよ。

すぅっと深呼吸して、呼吸を整えた。

「じゃあ行ってくるね!」

このままの勢いで行きたいから、今ならきっと告える。

緊張はするけど、大丈夫。

一歩踏み出すって決めてたんだ。

このチョコレートと一緒に。

もらったチョコレートを大事に握りしめて家庭科室のドアを開けた。

「あの…っ」

「ん?まだ何かあった?」

足を止めて振り返り小鳩の方を見ると、小さくガッツポーズをしていた。

「…がんばってください」

ぎこちない小鳩の応援が心に響いて、絶対大丈夫だって思えた。

どんな結果でも、まずはちゃんと…

気持ちだけは伝えたい。

そう思って。

「ありがとう!」