恋の♡魔法のチョコレート

「20分経ちました、完成しましたよ」

結局最後の方、ちょっとだけ上手く話が繋げられなくて微妙な沈黙ができちゃったけど気まずくなる前にチョコレートができてよかった。

小鳩が冷蔵庫からチョコレートが流し込まれたシリコンモールドを取り出した。

はやる気持ちが抑えられなくて、つい小鳩にくっつくように隣に並んでしまった。

邪魔そうな目で睨まれた。

サッと離れて距離を保った。

シリコンモールドに敷き詰められたチョコレートが小鳩の手によってテキパキと外されていく。

これがあの小鳩結都が作った魔法のチョコレート…

すごい、キラキラしてる。

なんだか胸がいっぱいで、瞬きするのも忘れてしまった。

「さぁ、どうぞ」

小さなお皿に乗った、一口サイズの長方形に()されたチョコレートが目の前に出された。

ごくんっと息を飲んで、1枚手に取った。

「…いいの?」

「今更いらないんですか」

「いる!いるますっ!」

あぁっ、思いっきり嚙んじゃった。

だってこんなに早く手に入れられると思ってなかったからー…

どんな味がするんだろう?

どんな風に溶けていくんだろう?

すぅっと息を吸って、深呼吸をする。

「…いただきますっ」

パクッと一気に全部放り込んだ。

カカオの香りが口の中に広がって、舌の上で滑らせれば一気に世界が変わる。


わぁ、すごい…

これが小鳩結都のチョコレート…っ

魔法のチョコレート…!


食べたことない味がする!!!


「何コレっ!!??」


思わず吐き出したくなるような味がした。

それはある意味、衝撃的。
 

こんなチョコレートは初めてだった。