マスコミに追われることはないと聞いていたことで、唐突な質問に、晴真は言い淀む。


「否定しないということは、やっぱり本当ってことで間違いないですか?」
「すみません、急いでいるので」


 立花が言うと、晴真は立花に守られながら、その場を去ろうとする。


 だが、簡単に解放してくれるわけもなく、道を塞がれる。


「彼女とはどのようにして出会ったんですか?」
「付き合ってどれくらいですか?」
「ファンに対して悪いと思っていないんですか?」


 責め立てるような質問に、耳を塞ぎたくなる。


 晴真は目さえも閉じて、ただ立花に誘導されていた。


 マスコミたちが団子になって晴真を追いかける背中を、蒼空はただ見ておくことしかできなかった。


「これは知由さまに怒られるやつだ……」


 合流は難しいと判断し、蒼空は誰にも気付かれないように、その場を離れる。


 人通りの少ない場所で、スマホを操作する。


 SNSには引き続き“朝原晴真”の名前がある。


 適当に見ていくと、昼間のワイドショーで熱愛騒動が取り上げられていたことがわかる。


 切り取られた動画でしか内容把握ができないが、誰もなにも知らない状態だからか、どれも内容は薄い。