「あまり…みんなには話さないで欲しい」
「えっ、あっ、ごめん…!」
生物準備室に入ってドアを閉めると、わりとすぐ言ってきた。
そうだよね、あまりペラペラ言っちゃうのも良い気しないよね…。
少し落ち込みに似た気持ちを感じていると、浅倉くんは半歩だけ近づいてくる。
「俺と青石さんふたりだけの思い出にしておきたいから」
「…!そ、そうだね…!うんっ」
「…うん」
私の不安を「そうじゃないんだよ」って伝えてくれるところ。
言葉が足りないときもあるけれど、ちゃんと周りを見てるんだなって感じる今。
「クリスマス、…一緒に過ごせなくてごめん」
「ううんっ!イルミネーションで十分だったから…!」
メールは毎日してくれるし、電話もできるときはしてくれる。
時間をわざわざ作ってくれる。
それだけでいいんだって心から感じられるくらい、私は彼のことが大好きになっていた。
「俺…ほんとは青石さんと過ごしたかった」
「っ…!」
やっぱりぎこちない。
あの日から2回目の腕のなか、あの夜以上の幸せを感じた。
「わ、私も…浅倉くんと過ごしたかった、」



