「……何敗目?」



トボトボと帰還した時点でお察しな友達は、手鏡を片手に呆れた眼差しで見つめてくるものだから。

隠すことなく正直にさらけ出す準備は整っている。



「…6敗目です」


「理由は?」


「……“ごめん、だれ?”って…、」


「はい、お疲れ」


「ううっ、えっぐ、ひっぐ、いくらなんでも“だれ?”はひどすぎるぅぅーーーっ」


「え、ガチ泣き?また?」



当たり前だ。

確かに6連敗というのは周りから見れば恋に恋する乙女でしかないかもしれないけど、私は1回1回ぜんぶが本気の恋……の、はず。


惚れっぽいのは自覚しているとしても、今日の返事はつらすぎた。



「とりあえず座んな、李衣(りい)。お弁当食べて忘れよ」


「食べるぅ、いっぱい食べるぅ、」



やけくそになりながら席に座ってお弁当箱をパカッと開けた私、青石 李衣(あおいし りい)。

どうやら私の伝説は今日にもまた更新されてしまったらしい。


高校に入学してちょうど半年、振られた回数は6回目だと。