「…ごめん、こんなにダサくて」
「そんなことないよ…!転んだことがない人間なんかいないからっ」
「…暗い場所も…どこで転ぶか分からないから怖いんだ、本当は」
「…そう、だったんだ、」
だからお化け屋敷には行かなかったんだ…。
ごめんね、なにも分かってあげられなくて。
自ら言わせる前に気づいてあげなくちゃいけないのが彼女なのに…。
「あのね浅倉くん!私の叔父(おじ)に当たる人がねっ、実は有名な病院の先生なの…!」
「……そう…なんだ」
「うん!ここの最寄り駅から電車で3つ先の、“英明(えいめい)大学総合医療センター”っていう大きな大学病院で働いてて…!」
私のお父さんの弟である叔父さんは、今では難病患者を扱うほどのベテラン医師だ。
忙しい人だからしょっちゅう会えるわけではないけれど、昔から家族ぐるみでお世話になっている人。
「だから浅倉くんの身体のことも調べてくれるかもしれなくてっ、私から言うことも───」
「平気だから」



