ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。





変だった。

言葉で表すなら、これしか表現方法がない。


変だった、不気味だった、怖かった。


どうしてそこで転ぶの?
どうして転んだの?

そんなことばかりを考えてしまう自分が。



「浅倉!!大丈夫かよお前…!!」


「北條くんっ!」



わずかな騒ぎを感じ取ったクラスメイトが再び戻ってくる。



「立てるか?先生よぶ?」


「…いい、大丈夫」


「ほら、俺の肩掴まれって」


「……なんか無理」


「んなこと言ってる場合かよ!いーから掴まれって!」



ギリギリまで悩んでいた。

そして何事もなかったように立ち上がった浅倉くんは、最後まで北條くんの手は借りぬまま。



「ほんと平気だから。北條はもう戻って」


「…ならいいけど」


「あ、ありがとう北條くん」



何もできなかった私は、せめて助けようとしくれた彼に浅倉くんのぶんもお礼を伝えた。



「青石さん、こっち」



腑に落ちない顔で行き場を失っている北條くんを気にすることなく、今度は動揺する私の手が引かれる。


その背中が「ごめん」と謝っているみたいで、どうしてか泣きそうになった。