まずは夢か現実を見極めるために、空いているほうの手で頬っぺたをつねってみる。
………痛いです、ありがとう。
「ごめんね北條くん!この借りはまた10年後に返すからっ!!」
「おせーわ!!」
私が北條くんの名前を呼ぶたびにつまらなさそうな顔になって、ぐいっと腕を引く力が強まって。
スタスタスタと足取りも速まる。
「あのひとたち格好いい~!私はあのクールそうなほうがタイプっ!」
「さっきチョコバナナ作ってた人じゃない?やっぱり隣の子が彼女だったんだ…」
そうでしょそうでしょ!
そうなの私が彼女なのっ!!
ってことは、もしかして私と浅倉くんはお似合いってこと…!?
「なんか……レベル低くない?」
「わっかる~。あのイケメンならもっと可愛い子を彼女にできそうなのに」
……そっち。
結局ね、うん、わかってたけど…!!
ふんっと鼻を鳴らす気持ちだけを持って、他校の女の子たちを通りすぎる。
「浅倉くんっ、次どこ行く?」
「…青石さんは……かわい───、っ!」
───彼が何か言いかけた、そのときだった。



