変わらない皮肉と同じように、茶色がかった爽やかなショートヘア、前髪をふわっと上げて額(ひたい)を見せるスタイルだって当時と一緒。
頼れる兄貴肌で、黙っていれば格好いいところも。
「…そんなの余計気になるよ」
「おう。気になってろ気になってろ」
記憶と一緒に、まるで高校生の私たちがここに居るみたい。
胸の奥に大切に保管してある、お姫様になれた体育祭の思い出が広がった。
「千隼くんは…“いちばん大切な存在”、って」
「…それは俺が引きたかった。まあでも、結局は同じ結果が待ってただろうけど」
失格だったね、北條くん。
私を先に掴んだけれど、転んでしまって立ち尽くしていた千隼くんに渡してくれて。
そのあと借り人を見つけることをしないまま、ゴールもしなかった。
「あのとき俺があえて失格になったのは、
…そんときの俺は“いちばん”じゃねえと嫌だったから」
この人は何を引いたんだろう。
そしてそこには、なにが書かれていたんだろう。
「青石。正直俺は、…いまのお前に2番目が見つかってなくてホッとしてる」
思わず窓の外を見つめてしまった。
なにかを誤魔化すように、高校生のときから身につけているブレスレットを擦る。



