ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。





私がずっと身につけていたヘアピンを棺に入れて、その代わり、彼が最期まで身につけていたお揃いのブレスレットを受け取って。


このまま焼かれてしまうんだ、もう本当に姿形も見れなくなるんだ、そう思ったら無意識だった。


だめ、やめて、行かないで、置いていかないで、

おねがい千隼くん、待ってよ千隼くん、ちはやくんを連れていかないで───。


何度も何度も暴れて叫んで、声にならない声で繰り返していた。



「だって本当に……綺麗な顔して眠ってたから」


「ああ、綺麗だった。…たぶん浅倉は夢のなかで、また別の“夢”を叶えたんだろうな」



穏やかに目を閉じる彼を見つめた大人たちは、必ず優しい眼差しで言っていた。

まるで幸せな夢を見ている子供みたいだ───と。



「でも私、最後まで千隼くんを困らせちゃってたね…」



お姉ちゃんと叔父さん。

その2人が泣きじゃくる私をずっと抱きしめてくれていたような気がする。



「困りつつ喜んでたと思うぜ、あいつは。俺だってもし浅倉の立場だったら…、
そこまで愛してくれる彼女がいて嬉しくないわけがねえよ」



当時の光景を思い出してしまったのか、鼻を鳴らした北條くん。