ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。





そんな北條くんは当日、小暑の空の下、私を20分も待たせた。

車から出てきた同級生は謝りつつも心から詫びている様子はなく、私を冷房の効いた助手席へ案内してくれる。



「どうしても欲しい花がなかなか見つからなくてさ。焦ったわ」


「欲しい花…?北條くんってそういうの、こだわるタイプだったんだ」


「ああ、…今日だけはな」



今日は俺が花を用意する───その時点で、いつもと違うパターンは始まっていたのだ。


こうして一緒に向かうことは初めてではないため、いつもどおり私の自宅付近まで迎えに来てくれると思っていたのに。

この日はなぜか、駅集合。



「なあ、青石」


「ん…?」


「お前いま、付き合ってるやつとか…いんの」


「…北條くんがいちばん知ってるくせに」



チッカン、チッカン。

車通りが少ない道の赤信号にて、私の返事にウインカー音がよく響いた。



「それはもちろんなんだけど。つーより、浅倉はもう言っちまえば殿堂入りだろ?…じゃなくてさ、浅倉以外ってこと」


「…いないよ、そんなの。仕事も忙しかったし、子供たちが恋人みたいなとこがあったりして……気づけば26になってた」


「ははっ、お前らしいな」