ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。





まさかまさかの、保育園を出た先に待ち伏せていた同級生。

高校生のときと比べると大人になったなあ…なんてしみじみ思うけれど、基本は変わってない。



「あれ?たしか名古屋に出張だったんじゃないの…?」


「予定より早く戻ってこれてさ。もしかしたら会えるんじゃねえかなーって、そしたら会えたわ」


「あ、そうだったんだ…」



スーツにネクタイ。

バスケ部だった賑やかな男子生徒が、26歳にもなればこんな姿になるんだと。


顔を会わせるたびに、やっぱりまだ落ち着かない部分もあったりして。



「給料日後ではあるけど北條くんの奢りだよ?」


「おい、まだなんも言ってねえぞ」



自然と並んで歩く帰り道。

駅前には飲食店も揃っているため、今日のような日は夕飯を共にするお決まり。



「青石、次の7日ってちょうど来週の土曜だと思うんだけど。…空けといて欲しい」


「え、その日は千隼くんに会いに行くから…」


「おう。だからこそだ。…俺も一緒に行く」



毎月7日の月命日は、大好きな彼に会いに向かう。

お墓参りはその日にすると18歳のときから決めていて、どんな形であれ怠(おこた)ったことは1度もなかった。



「……ふつう誘ったひとが遅れてくる?」


「わりぃ。マジごめん」