ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。





ありがとう。ありがとう。

大好き、ずっとずっと愛しているよ。



胸いっぱいに愛しさが募って、言葉にできない私の思いを受け取った彼は幸せそうに笑って。


“またね”と、口で形を作って。



花びらへと溶けるように───…消えていった。



静まり返る教室はどこか寂しくて切ないのに、温かさと優しさがあって。

ふわっと胸に落ちてくるぬくもり。



「───…きれい、だよ」


「…きれい……?」



ぽつりと無意識にもつぶやいた私へ、震える声で北條くんは聞き返してくる。



「うん。…私たちの世界は、こんなにも……きれい」



溢れた気持ちが、いとおしさが、止めどないほどの涙となって頬を伝ってゆく。

最後に、彼はいちばんの世界を私に与えてくれたんだ。


つらいだけじゃなかった。
苦しいだけじゃなかった。


私たちが手を繋いで生きた時間は、誰よりも、どんなものよりも幸せだった。


きれいだった。

とてもとても、やさしくてきれいだった。



ああ、ここが、私たちが愛して、生きた世界なんだ。




「今日は……今まででいちばんの───…ラッキーセブンだね、千隼くん」