ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。





ねえ、千隼くん。

私は君のことを理解できていただろうか。


笑顔も、涙も、強さも、弱さも。
ちゃんと理解できていたのかな。


だけどね、これだけはハッキリ、自信を持って言えるんだ。


片方が手を伸ばすだけでは、誰とも繋がることはできない。

反対側に君がいて、そんな君がいるから私は手を伸ばすことができて。

そして私が伸ばした手を受け止めてくれて、ぎゅっと繋いでくれる君がいるから。


ふたりでやっと、繋ぎあうことができるんだね。


ふっと目を閉じれば、ひとつひとつがパズルのピースのように散らばるから。

大切に、大切に、私たちが過ごした毎日に埋めていくの。



『青石さんは……いつか俺を必ず嫌う』


『じゃあもし俺に……足が無くなって、手が無くなったとしても…そう言える?』


『寝たきりになった俺に、同じように言える?』



悲しくて、つらくて、苦しいことばかりだった。

強がっても「いい思い出だ」なんて、簡単に言うことはできなくて。



『ふ、ふざけんな……っ』


『きれいな病気なんか…、あるわけない…っ』


『助けて…ください、お願いします先生…、おねがい…っ、』