ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。





『…早いね』


『うん…。千隼くんも仕事のほう落ち着いてきてるみたいだし、私もとくに変わりなくだから、えっと、その…』



俺はどんな仕事に就いてるんだろう。

服装はスーツ姿だったから、営業職だったり、もしかすると父さんと同じコンサル業だろうか。



『李衣…?』



もじもじと目線を泳がせている。

そんな姿も面白いから、俺はもう少し見ていたいと悪戯心が働いてしまって。



『きょ、今日は7日だから、ラッキーセブンだよ千隼くん…!』


『……ふっ、ははっ』



26歳になってもラッキーセブンを信じているところ。

どうしよう、愛しさが募って仕方ない。



『え、どうして笑ってるの…?』


『いや、なんか、…変わんないんだなって』


『……だから前に進めないのかな…、もっとちゃんとしろってこと…?
でも料理もそれなりに作れるようになったし、節約とかも得意だから……問題ないと…思う、よ?』



いいのかな。
少しだけならこの夢に甘えてみても。


現実の俺は、その言葉だけは贈ってあげられなかった。

だってそれは李衣をもっと悲しませてしまうから。



『…李衣、ちょっとこっち来て』


『え、あっ、うん』