夢を見るんだ。
すごくすごく、幸せな夢を。
何回も何回も見る夢があって、同じ夢なのに会話の内容は進むものだから、妙にリアルで。
起きた瞬間は夢と現実の違いがあやふやなほど。
『…今日は少し遅くなったな』
まだ空が青い日もあれば、夕暮れ色をした日もあって、すでに日が落ちて街灯を頼りに向かう日もあって。
だから“今日はいつもより早い”だとか、“今日は少し遅め”だとか。
夢のなかだというのに時間感覚がある。
それもまた面白くて、俺は決まった場所へ向かうんだ。
『おかえりっ!』
『……ただ、いま』
『今日はちょっと遅かったね。残業?ご飯食べてきてないよね…?ふたりぶん作っちゃったよ?』
『…うん、お腹すいてる』
おかしいでしょ、笑っちゃうよな。
7階建てマンションの3階。
部屋番号なんかとくに気にしないまま、俺はひとつのドアを開けるんだ。
そうすると、エプロン姿の女性が迎え入れてくれる。
必ず“おかえり”って、言って。



