『じゃあ…7番のひと…、俺と……付き合ってくれませんか』
今でも思い出す。
王様は千隼くんで、7番は私。
ううん、王様じゃない、王子様だった。
誰よりも強くて格好いい、王子様。
「…ちはや……くん、」
こんなにもスムーズに伸ばすことはできなかったはずなのに。
違和感なく動かすことはもう不可能だと、誰もが諦めてしまっていたはずなのに。
私の頬に手を伸ばして、そっと撫でた彼は、苦しさや悲しみとは正反対の涙を流していた。
変わらない温かさをすぐに掴んで、私は何度も何度もうなずく。
「あり…が…とう、……ありが、とう…っ、
─────…李衣……っ」
「…そんなの……私だって…、私こそ…っ、─────だいすき……っ」
それ以上の幸せは、どこを探しても見当たらないくらい。
それ以外の幸せなんか、どこにもないくらい。
こんなにも幸せそうに笑って泣く彼を見たのは初めてだった。
浅倉 千隼がずっとずっと夢みていた、ふたりだけの世界は。
ここ、この場所に、あった。
そして今も、ここに、現実としてある。
私たちが一緒に手をつないで生きた時間、そのものだったのだ───。



