ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。





「……くっついたよ、千隼くん」



去年の修学旅行で買った、レザー素材で作られたブレスレット。

彼の左腕にしっかりと付けられている色違いは、磁石になった一部分を私のものと合わせることができる。



「───…、」



穏やかに目を閉じる姿を見ていると。


もう、ラクになっていいよ。
苦しいでしょう?

たくさん、たくさん、頑張ったよね。
千隼くんは精いっぱい生きた。

だからもう、眠っていいんだよ───。


そんなふうに思ってしまうときもあって。


だけどそれ以上に、“死なないで”と、彼をもっと苦しめようとする私がいる。



「───…りい、」


「っ…!!ちはやくん、千隼くん…っ」



声帯からずらした位置を切開しているため、話すことはできるという。

うっすらと目を開いた千隼くんは、開口一番に私の名前を呼んだ。



「りい…、おれ……しあわせだよ」


「っ……、なん…で…、」



そんなはず、ないの。
どうしてそこまで強くあろうとするの。

私ばっかりが泣いて、私ばっかりが弱音を吐いて。


情けなくて格好わるくてダサいのは、いつだって私だった。