「俺たちのデート、邪魔しないでほしいんだけど」
「ははっ、邪魔してやるわ。俺にはそれくらいしかできねーし」
下半身に加えて肩の動きが怪しいと思ってしまった。
そうなると次は上半身全体から腕だろうと、予測できてしまうことが苦しい。
まるでそれは下からどんどん錘(おもり)を取り付けられるように固い縄で拘束されているみたいだ。
本当にこんな病気があるんだと、そして難病を患っているのだと思うには十分すぎるものだった。
「……あっのさあ、俺はどう反応すればいいわけ?」
「見てればいい」
「…軽い拷問じゃねーかよ」
いつもそうやって食べてんの?
アイスってそういう食べ方するもんなの?
もしかして俺が知らなかっただけ?
だったら俺は一生アイス食えねえんだけど。
「李衣、」
こんな浅倉 千隼を俺は見たことがない。
あー、と。
ベッドに乗せて、背中から腕を回して、彼女へと甘えるように口を半開きだと。
「千隼くんっ、おいしい?」
「うん。おいしい」
青石には見えなかった。
駅で偶然な鉢合わせを狙っていた俺の前に現れた青石を目にしたとき、こんなにも変わるものなのかと驚いた。