ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。





私がまさか医者を目指すなんて、お父さんもお母さんも、お姉ちゃんもきっとびっくりする。

だからまだ話してもいなくて、いちばん最初は千隼くんに伝えた今。



「もちろん簡単な道だとは思ってないから、これからたくさんたくさん勉強しなくちゃで…!まずは大学に受かるように───」


「無理じゃない?」


「えっ、」



まさかのまさかだ。

こんなにも呆気なくバッサリと即答されてしまうなんて、少なくとも彼は応援してくれるんじゃないかと思っていたのに。



「た、確かに学力的なレベルとかっ、足りないとは……思うけど…、」


「ううん、ちがう」



思わず視線を向けてみると、とっくに私のことを見つめてくれていて。

熱い手のひら以上に熱が含まれる眼差しがそこにはあった。



「だって李衣、注射きらいでしょ」


「………あっ!!」


「ふっ、ほら。医者になったら患者さんに針刺すんだよ。そんなのできないと思うし」


「そう言われればそうだった…!」



どうしてずっと忘れてたの私…!

注射は私が何よりも嫌いなものだし、それを誰かにするなんてもってのほかだ。