ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。





「わあっ、キラキラしてる!」


「いつも車から見えてさ、李衣と一緒に歩きたいと思ってたんだ」



春が近づく夕陽に照らされた水面が、宝石のように輝いていた。

修学旅行の夜、ふたりで一緒に見た海とはまた違った輝きを放つ、そこは長く長くつづく川。


そんな景色を見ながら並んで伸びる影。



「李衣、進路は決まった?」



ランニングをする人、犬の散歩をする人、少し下ったところで絵の具を手にしている人。

様々な流れを見渡すことができる堤防は、川の流れも格段と綺麗に見える。


いちばんのスポットで歩みを止めた千隼くんは、私の手を握りながら言葉を発した。



「そういうの、聞いてなかったなって。そろそろもう出てるでしょ?」


「…うん。一応、決まってるかな」



当たり前のように未来を考えることができる私の立場。

夢を持つことができる私の立場。

彼はどうしてこんなにも強いんだろうって、不思議で仕方なかった。



「…私、……お医者さんになりたい」



青石の家系で唯一、大学病院の先生にまでなってしまった人がいる。

それは千隼くんもよく知っている人だ。