ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。





また楓花と行動することが多くなると、いつも様子を見守ってくれていた彼女が初めて聞いてきた。


不思議に思うことは当たり前だ。

誰だって、気になる。



「千隼くん、ちょっとだけ大きな怪我をしちゃったみたい」


「え、そうなの…?あの骨折…?」


「うん。少し厄介らしくてね。だから通院とか…たくさんあったりして」



怪我にもいろんなものがある。

今は大丈夫だと思っても、放っておいたら大きな病気に変わることだって。


だからそこまで詳しくない人間は、それ以上を下手に踏み込もうとはしない。

楓花が私に千隼くんのことを聞いてきたのは、このときが最初で最後だった。


もしかすると私は、とても私らしくない顔をしていたのかもしれない。



「李衣、となり来ていいよ」


「私が押してあげるっ」


「青石先生から“なるべく動かせる筋肉は動かせ”って言われてる」



この日は放課後まで一緒に過ごせた貴重な日。


彼の車椅子は、手動と自動の切り替えが可能だった。

色も黒ベースに淡いオレンジ色が織り交ぜられていて、そういうところにも利用者に対する工夫が見える。