ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。





「これねっ、千隼くんのぶんもあるの!放課後に持っていくから一緒に食べようね!」


「安心しろ浅倉!俺が青石から奪っとくわ!」


「ちょっ、北條くん入ってこないでっ!これは私から千隼くんへのプレゼントなの!」


「浅倉~、悔しいなら早く学校こいよ!わかったか!待ってんぞ!」



北條くんだけじゃなく、楓花のため息、それからクラスメイトたちの笑い声。

こんなわちゃわちゃを、私も同じようにして返すのだ。


学校にいる私と病院にいる彼を繋ぐものは、このスマートフォンだった。


いつ腕が動かなくなってしまうか分からない。いつ指が思うように使えなくなるか分からない。

いずれはスマホを操作することも難しくなっちゃうのかな…。



「あっ、電話…!千隼くんから電話かかってきた!」


「青石っ、スピーカースピーカー!」



たったそれだけで、クラスメイト全員が反応する。

千隼くんはいつの間にか2年3組の中心人物になっていた。



『北條。半径3メートル以内は李衣に近づかないで』



待ってはくれない月日に連れられるように、彼はそれから学校よりも病院にいる頻度のほうが多くなって。