ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。





「だっ、だめだよそんなことしたら…!!ななななに言ってるの千隼くん…っ!!」


「じゃあ…あとでふたりのとき」



面白がってる、あれぜったい楽しんでる…。

みんなの反応を見ては、それまで私しか知らなかったような顔を浮かべていて。


ふわっと意地悪に笑う顔の、えげつない破壊力。



「李衣っ、ちょ、あんた生きてる……?」


「む、むりぃぃ……っ」



高校2年生、3学期。


右足にも進行が進んだことにより車椅子になった千隼くん。

そんな彼は、どこにでもいる男子高校生と同じように笑っていた。



「千隼くんっ!これからお昼なんだけどね、今日はお母さんが寝坊しちゃったらしくて購買なんだ~。
メロンパンと、焼きそばパン、それからカツサンド!こちらが本日の青石 李衣のお昼ごはんです!」



机に広げた数種類のパン。

動画を撮って、すぐにトーク画面に載っける。



『それどう考えても3人分はあるよ李衣。4限は体育でしょ?吐かないようにね』



すると、ボイスメッセージとして返信がくる。

普通のメッセージではなく声が聞こえるボイスメッセージ。

電話はお互いの都合があるからと、ボタンひとつで声が聞ける方法を選んだ。