ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。





「私のもとに生まれてきてくれた。…その瞬間にもう、子供が果たすべき親孝行は果たせているのよ」



この言葉を彼に届けてあげてほしい。

今すぐにでも、伝えてあげてほしい。



「…夢も…、あったと思うの。きっと青石さんと憧れた未来もあるんでしょう…、
だけど千隼は言わないことができてしまう子だから……」



夢、憧れ。

彼はどんな夢や憧れを持っているのだろう。


どんな人になりたくて、将来は何がしたくて、どこかに行きたいとか、こういう世界を見てみたいとか。


それを私に話してくれたことは───、



「───…私なら…、叶えられます、」



ふと、気づく。



「…え…?」



さっきだ、ついさっき。
お弁当を一緒に食べているとき。

そこでほんのわずかでも、彼の憧れを聞くことができた。



「いや、私なら、じゃないです…!私にしか、叶えられないです…!!」



そして残る夢は、ずっとずっと言ってくれていた。


彼は私に話してくれていた。

そしてそれは、どうしたって私にしか叶えることができないこと。



「言ってくれてましたっ、私に、千隼くんは行きたい場所の話をしてくれてて…っ!」