「やっぱり千隼くんはその頃からラッキーセブンの王子様だったよ」
「…その日は7日じゃないよ確か」
「あとから思い出したんだけどね、その日の星座占いが7位だったんだ私」
順位だけで見れば微妙だとしても、私にとっては1位より価値があるもので。
本当にラッキーセブンはあるんだって、そのときも思った。
「俺は、1位だった」
「え…?」
「その日の星座占い、俺は1位だったんだよ。だから李衣のラッキーセブンと俺の1位が合わさった…すごい日だったんだ」
波に揺れる海が、私を見つめる瞳のなかにも映っていた。
不安も、迷いも、すべてを包み込んでくれる涼やかな風は、私たちの髪を撫でてくれる。
「…きっと、ふたりだけの世界もこんな感じなんだろうね千隼くん」
ここも7階だよ───と笑うと、たまらなくなったように手が握られた。
「すごいな…。俺、ほんとに行けたんだ」
彼が抱える苦しみを完全に取り除いてあげることは、私にはできない。
誰だとしても、たぶんできない。
千隼くんが背負ってしまった大きすぎるものは、彼にしか分からない痛みばかり。



