なにがあったかなんて、わかりません。

どういう状況のもと、ああなってこうなったのかすら、わかりません。


気づけばそうなっていました。

ただそれだけです。



「青石さん、」


「はっ、ははははいっ!私が青石さんです…!!」


「…一緒にお昼、食べよ」



きゃーーーっ!!と、うおーーーっ!!と。

沸き上がる歓声という名の歓声に、ここはどこかの試合会場なのだろうかと勘違いしそうになる。


クラスメイトの女子も浅倉くんのことは気になっていたはずなのに、「なんか李衣なら許せる」と、口を揃えて言ってきて。



「李衣っ、ちょっと李衣!」



ゆっさゆっさ、強めに揺すってくる友達。



「………はっ!!」


「あんた誘われてるよ…!彼氏に誘われてんだよお昼をっ!!」



いつもどおり楓花とお弁当を広げようとしていた私の目の前には、無表情で立つ格好いい男の子がいた。


見下ろしてきてる……、

私のこと、見てる…。



「か、……かれ…、し……?」


「しっかりしなさいよ李衣…!!あんなに欲しがってた彼氏が目の前にいんのよ!?」


「だ、だって……、夢、これは夢なの、ぜったい夢……、」