フロントは24時間対応だとしても、22時35分となれば出歩く人もあまりいない時間帯だ。
それに生徒たちが部屋を出ていいのは21時半まで。
4階といえば一般客に使われている階だ。
男子は3階、女子は5階。
彼は何を企んでいるんだろうと思いながらも、もちろん《わかった!》と返信。
《友達にも先生にもバレないように》
《了解!》
《あと変なやつに遭遇しないように気をつけて》
《千隼くんもだよ!》
“OK”というスタンプがポンッと送られて、トークルームは終了。
「ふわぁ~あ。李衣、私もう寝るわ」
遊び足りないとは言っていたけれど、さすがに最終日前日。
しっかりと疲れが溜まっているらしい楓花は、あくびをしながら寝返りをうった。
「あっ、ここ消す?」
「どっちでもいいよー」
「じゃあベッド脇のランプだけ付けておくね。おやすみ~」
「おやす~」
約束の時間まで眠っちゃわないようにしなくては。
そんな心配はいらないくらい、内緒で千隼くんに会えるんだと思ったらドキドキしてきた。