ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。





あの先には何があるんだろう、とか。

夕焼けが終わると夜が来ちゃうね、そしたら朝になるね、とか。


そういうことは一切考えないで、ただ、今ある時間を見つめる。


千隼くんと私にはそれだけでいいんだって、それがすべてなんだって、強く強く思った。



「あっ、そうだ千隼くん!借り人競争のくじにはなんて書いてあったの?」



北條くんのことだから、きっとろくなこと書いてないはず…なんて思っていたけれど。

千隼くんは私を選んだから、ちょっとだけ気になっていた。


まさかお姫様抱っこしてもらえるなんて、そのままゴールしてくれるなんて、いまも思い出すだけで夢みたい。



「もしかして北條くんが引いたくじみたいに“クラスでいちばんのバカ”、とか…!?」


「…いちばん大切な存在」


「…え…、」


「あいつにしてはまともなこと書いててびっくりしたけど。でも…俺からすれば“李衣”って書いてあった」



それを引いた千隼くんはきっと、運というものを味方につけた王子様。

だったら運命も味方につけてほしいのに…と、心の奥の奥にはどうしようもない何かが必ずある。


その“いちばん大切な存在”に、彼は私を選んでくれた。


それがどんなに幸せか、わかる……?