そっと撫でられた頬。
はしゃいでいる子供を大人しくさせるものに似ているけれど、また少しちがう。
見下ろしてくる瞳は、私のことを他の誰にも見せないように閉じ込めているみたいだ。
優しい眼差しで、熱い熱い目をして。
「───…すきだよ、李衣」
ほら、私たちだけの世界。
その一言だけで、私の世界には浅倉くんだけになって、浅倉くんだけが居ればいいと思ってしまう。
「わ、私も…すきっていうかっ、好きよりも……だいすきっ、…ち、千隼くんが大好き…!」
「…俺も、おなじ」
「……!」
なにか迷うことがあるのなら、彼をただ愛しなさい───と、どこからか自分の声が聞こえたような気がした。
お互いにぎゅっと、抱きしめあう。
でもやっぱり私のほうが強く抱きしめている自信がある。
「…ちはやくん……、」
「うん…?」
「わたし…、鼻血でてない…?大丈夫…?」
ふっと笑った彼は、少しだけ身体を離してから、今度はコツンとおでこをくっつけてきた。
すぐ目の前、どこか楽しげに微笑む大好きなひと。



