ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。





どうしよう……、いい匂いする…。

浅倉くんって1時間置きにシャワー浴びてるの?ってくらいに漂う、石鹸の香り。



「…寒いでしょ」



すぐに掛け布団が蓋に変わった。


きっと外から見たら私がいるとは思えないほどに埋まってしまっていることだ。

目の前には、浅倉くんのジャージのファスナーについているチャック。



「ふふっ」


「…どうかした?」


「世界が私たちだけになっちゃった!」


「……、」



目の前は浅倉くん、背中には腕が回されていて、あとは布団で隠されちゃってる。

私には今、浅倉くんしか見えない。

周りのことだって見えない。
音だってあまり聞こえてこない。



「たのしいね…!」



子供みたいにはしゃいでしまった。


例えるなら、台風の日。

外はびゅんびゅんと雨風が吹いていて、それでも家のなかは安全。

食料を確保して布団にこもるの。


どこかドキドキしてワクワクして、だから私は小さなときも台風や雷で泣いたことは無かった。



「わ、」