「え、無さすぎんだけど」
「ちょっ、無さすぎるはひどい…!!」
「無理すぎんだけど」
「それもひどいよ北條くんっ!!」
好き……?
北條くんが私を……?
浅倉くんにはそんなふうに見えてたの…?
「浅倉、俺おまえとは分かり合えると思ってたんだよずっと」
ぶるるっと身震いをしてからふらふらっと、頭を抱えるように隣ベッドへ脱力しながら腰を落とした北條 拓海は。
「俺たちってモテるだろ、ふつーに。だからある意味で選び放題なわけだ。
でもそれまでの浅倉は寄られても付き合うとかはしてなかったから、“あ、こいつ俺と同じだ”って思ってたんだよ」
なぜか熱く饒舌(じょうぜつ)に語り始めた。
「俺もさ、追いかけられるより追うタイプだから。自分が好きになったやつじゃねーと付き合う気すら起きねえんだよな」
そんな地面を見つめていた視線が、大袈裟なくらいにバッ!と戻る。
珍しく真剣な顔をしているから、なにを伝えてくるんだろう…なんて唾を飲みこむ私。
浅倉くんはじとーっと据わらせた視線を送りつづけていた。



