追いかけないと............!

 ...でも、その前に......。

 女の子のほうを見る。

 女の子は、きれいな桃色の髪の毛をしていた。

 目は、きらりと反射する桜色。

 ぱっちりと開いた目もと。

 ショートカットで、顔のパーツが整えられたようにお人形さんみたいにかわいい。

 不安そうな顔をしている彼女に、こう話しかけた。



「大丈夫?」



 こくりと彼女がうなずいた。

 それを見て、私もうなずく。

 

「家、どこにあるの? 送るよ」

「............え?」

「怖くない? あーゆーの。まるで殺すように、言ってくるしさー」



 私は、からりと笑った。

 立ち上がった彼女と一緒に裏路地を出る。

 そのまま、彼女はてくてくと歩き出した。

 私は彼女の隣に立ち、周りを警戒しながら進む。

 

「......あの、助けてくれて、ありがとう」

「いやいや、そこまでのことじゃないし。ところでなんだけど、何年生? 学生でしょ?」

「あ、高1なんです」

「私と一緒だねー。私も高校生なんだよ」

「............何年生、ですか?」

「何年生でもない感じ? ていうか、敬語はいいよ。年近いでしょ」

「そうですか? じゃあ、............あたし波瑠(はる)。ね、なんていう名前なの?」

「いい名前だねぇ」