そんなことをうんぬんと考えていると、昼休み終了のチャイムが鳴った。



「心空、またあとでねっ」

「うん、またあとでねっ」



 みんなが教室にもどってきて、ガタガタと音を鳴らしながら席に着いた。

 5時間目は、国語。

 百人一首の授業だ。

 

「ん~と、今日は5日だから..................出席番号5番の人のいる列から、答えていって」



 先生がそう言い、えー⁉という声が上がる。

 5番? ってことは、私の列の、前から2番目の人だ。

 列の人、一番前に座っている人から問題にこたえていく。



「夜が明ける頃あたりを見てみると、まるで有明の月が照らしているのかと思うほどに、
 吉野の里には白雪が降り積もっているではないか。は、どういう原文だ?」

「朝ぼらけ 有明(ありあけ)の月と 見るまでに 吉野(よしの)の里に 降れる白雪(しらゆき)

「ん、正解だ。
 白露(しらつゆ)に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける。は、どういう意味?」

「白露に風がしきりに吹き付ける秋の野のそのさまは、糸に通して止めてない玉が美しく散り乱れているようではないですか」



 サラリさらりと、流れるように答えていく神楽くんと時円。

 二人とも、すごいなあ......。



「あたりだ。
 難波潟(なにはがた) 短かき(あし)の 節の間も 逢はでこの世を 過ぐしてよとや、は約すると?」