もちろん、チャーハンの味は言うまでもなく。

 混んだら大変だからと言って、陽詩(ひなた)と早めにお話ししながら教室に戻ると、また言い争っていた。

 誰が、っていうのも、言うまでもなく。

 さらには殴りかけようとしたので、慌てて止めに入る。



「ななななにしてんの? 殴っちゃダメ......!」
 
「いやいや、じゃれあいだから気にしないで」

「じゃれあいで、遊ぼうとしてただけだから」



 大空(つばさ)翼皐(つばさ)がそう言ってるんだけど、............二人とも目が笑ってないっ。

 本気だ......!

 止めないと............‼



「じゃれあいかもしれないけど、殴っちゃだめだよ‼
 見てるだけでひやひやするし............ケガしてるとこ見たくないからね。ケガしてたら、怒るよ⁉」



 きっぱりとそういうと、大空と翼皐が「「......えっ」」と目を丸くした。

 どうしたんだろうと二人の顔を覗き込むと、急にしどろもどろになって顔を赤くしてく。

 えええええ?

 どうしたの? さっきまで、今にも来夢(らいむ)たちに殴り掛かりそうだったのに......。

 かぜとかひいてないよね⁉

 最近、急にあったかくなってきたから体調崩したのかも⁉



「体調崩したの⁉」



 私がそう言うと、二人はまだ少し顔に赤さを残したまま眉をひそめた。



「............何の話?」

「............何のこと?」



 その声は不機嫌さがにじみ出ていて、あせった。

 何かしちゃった、私......⁉

 二人の声に動揺しながら続ける。
 


「崩してないんだね......よかったー...」