【side大空】
俺らは、いつでもどこでも一心同体。
2人いるのに、1人の人間みたいに扱われる。
そんな生活が、前までは嬉しいと思ってた。
でも、今では大嫌いだ。
誰にも気づかれず、見分けられない。
入れ替わったって、気づかれない。
でも、別にそれでもいいんだ。
俺らは、それでいい。
気づかれなくても。見つけられなくても。わかってもらえなくても。
それでいいんだって、いつの間にか言い聞かせていた。
奇打 心空。
転校生。
............は?
転校生?
転校生なら、まず試験を受けなきゃいけないはずだ。
でもここは、たとえ暴走族があふれかえるほどいても進学校だ。
前に在校生が試しにやらされたが、結果はみんなみんな悲惨だったぞ。
なのに......転校生、だって......?
............え......?
内心驚いてはいたけど、はっきり言ってどうせ裏転校なんだろうと思っていた。
別にそういうやつはいるんだと思う。
ここにはそういうやつがたくさんいるような気がするしな。
なんて、そんなことを思っていたけど............。
授業中。
俺は、後ろの席の心空をちらりと眺めた。
今は数学。
教師がとにかくめんどい。
めんどいっていうか......。
気に入っている奴には簡単な問題をこたえさせ、気に入らない奴にはわざわざとてもむずい問題を出してあてるっていう教師。
なぜかはわからないが俺らのことをよく当ててくる。
んで、とにかく罰を受けさせる。
めんどいレベルの。
片付いていない部屋の書類整理、古くなってもう読めないくらいの本の書き写し、トロフィーの整理と掃除、落とし物などの確認、............。
ほかにもめんどい罰を与えられたことはよくある。
とにかくとにかく......めんどい。そしてうざい。
今日も、俺とさーがあてられるんだろうなあ......。
[さー]っていうのは、俺の片割れ・一卵性の双子=翼皐のこと。
はあ............。
まるでため息をつきたくなる。
なんなんだ、もう.....。
はぁ......と、ばれないようにため息をひっそりついた。
あの教師が教室を見渡す。
その視線が、一度......あいつのところで止まった。