「......あ、ってる?」
最後に私はそう聞いた。
2人は、口を開いて、顔を見合わせて。
どこか、困惑したような、迷子になった小さな子供のような表情で。
「「......合ってる」」
独り言のように、そうつぶやいた。
この、午前までの間。
2人を見ていて分かった。
そっくりだけど、ちょっと違う。
まったく同じなわけじゃない。
違う。
2人は、まったく同じじゃない。
同じ、人じゃない。
「やった、じゃあさっそく名前で呼ぶね」
「「え......」」
「大空、翼皐っ」
目を見開いて、黙ってこっちを見ている2人。
私はその2人を、初めて声に出して、名前で呼んだ。
「心空......」
こっちを見る陽詩。
「よかったあ、名前で呼びたかったんだ。陽詩とも、大空とも翼皐とも、その......」
この後に続く言葉を頭の中で唱える。
は、はずかしい............けど、言わないと、伝わらないから......。
私は、私を見つめている3人に向かって言った。
「な、仲良く、なりたい、から......」
だんだんとてつもなく声が小さくなってしまう。
聞こえないくらいの私の声が、3人の笑顔に溶けていく。
3人は私を見て、うん、っとうなずいた。
「「「......心空」」」
陽詩が、
大空が、
翼皐が、
3人が同時に私の名前――偽名だけど――を言う。
「よろしくね」
「よろしく」
「仲良くしてくれ」
私たち4人は、今ここでしっかりとお互いの名前を声に出して、呼び合った。
陽詩からもらったそば。
大空と、翼皐からもらったオムライス。
それは、とてもとてもおいしかった。

