え?
え?
えっ?
ずいっと、二人がスプーンを差し出してくる。
差し出されたスプーンに乗っかっているのは、オムライス。
「えっ?」
「ほら、オムライスもおいしいぜ」
「へっ?」
「うまいから、食べてみろよ」
「はっ?」
「......おいしいぞ~」
「うっ」
「......食べない?」
「え、でも......」
「いいから」
「............いらない?」
きゅるん、としたうるんだ瞳で見つめられて、言葉に詰まる。
う......っ。
えーい......!
また小さく口を開ける。
......ぱくっ。
「んっ......!」
「......!」
「こ、こっちも、心空」
「ん......!」
「......!」
どちらもオムライスだけど、悲夢くんと悲夢くんから差し出されたものをぱくっと食べた。
オムライスもとてもとてもおいしくて、思わずこくこくと2人にうなずいてしまう。
2人はそっくりで、2人がとった反応が全く同じで――。
まったく、同じ?
ふと、自分が思ったことに違和感を持つ。
......同じじゃない。
確かにそっくりだけど......同じじゃない。
とてもうれしそうなのを隠さずに笑っているのが、悲夢 大空くん。
少し笑うのをためらって遠慮がちに、でもうれしそうに笑っているのが、悲夢 翼皐くん。
言葉のアクセント。
わずかに違う声の高さ。
少し高いほうが大空くん。
少し低めなのが翼皐くん。
少しだけ違う身長。
笑う時の顔。
そしてーー。
「悲夢、くん......」
そういうと、同時に首を傾げた悲夢くん。
......あ...。
「ん? なあに?」
「ん? なんだ?」
わ、かった。
分かった。
分かる。
違いが。
二人の個性が、わずかな違いが。
「.........2人から、見て......右が......大空って書いて、大空くん。左が、翼に皐月の皐で......翼皐くん」
私は体から湧き上がってくる震えのまま、小さく口にした。
2人が、はっと息をのむ。

