私が次に目を止めたのは、2班の一つ空いている席だった。
「え...............?」
どこか戸惑うような声が聞こえて、少し眉をひそめた。
...何......?
首をかしげていると、チャイムが鳴った。
......キーンコーン、カーンコーン......。
「......あ...、ま......たあとで、ちゃんと......話すね」
.........え。
そういった陽詩の震えた声。
それとチャイムの音とを合図に、3人は自分の席に戻り、座りなおした。
「おー、HRやるから席につけー」
それから氷雨が入ってきて、HRが始まった。
◆
昼休み。
今日は特に用事もなく、陽詩と悲夢くんたちと一緒にお弁当を食べる。
陽詩と悲夢くんたちは、お弁当を持ってきてないらしく4人で学食に行く。
席について、陽詩が「わ」と声を上げた。
感心してるような声で、お弁当のフタを開ける手を止めて陽詩を見る。
「心空、お弁当なんだ」
「うん、そうなの。......って、陽詩と悲夢くんたちはお弁当持ってきてないんだね」
ちょっとびっくりしちゃった、と陽詩の話に相槌を打つ。
すると陽詩が目を丸くした。
「ええ~? だってここの学食おいしいよ。一流のシェフを雇ってるんだもん」
「ここのは絶品だぜ。な?」
「ああ、めちゃくちゃうまい」
い、一流の、シェフ...⁉
ああ............。
なんかもうすんでる世界が違うなあ......。
「だから毎日とは言わないけど、今度食べてみて! おススメ教えるから!」
え......!
陽詩のおすすめ⁉
おいしそう............っ!
「うん、今度食べてみる! おすすめ、その時に教えてね!」
「もちろんっ。とーってもおいしいんだよ! パフェとかもあるし!」
パフェまであるの......⁉
なんだかもう驚きすぎて、言葉が出てこない。
「あ、わたし、そばで!」
「んー。俺は、オムライス!」
「俺もオムライス」
私があっけにとられているうちに、ぽんぽんと3人は注文をしていく。

