何の話か分からなくて、というか考え事してて聞いてなくて、「ごめん、聞いてなかった...。何の話?」と尋ねる。
「こいつが、のり悪くって、愛想がなくって、素直じゃなくって、失礼だっていう話!」
「心空も、舞那がのり悪くって、愛想がなくって、素直じゃなくって、失礼だって思うだろ⁉」
「ん......と、え......っと? いや、そうは思わないかな」
情報を整理しながらも答えると、「「ええぇえ⁉」」とびっくりしたように返される。
「なんで?」
「ええ?」
「だって、迷惑になってるの私のほうだし......。この2班にも、後から入ってきたの私だし、それに......」
私は思ったある一つの可能性を口にした。
「陽詩と悲夢くんたち、とっちゃたし......」
すると、ぎゅううっと陽詩が後ろから抱きしめてきた。
か、かわいい......っ。
「「心空......っ!」」
って、悲夢くんたちもなんだか感極まってる......⁉
「はあ? そんなこと思ってるわけねーだろが。馬鹿な女」
びっくりしていると、難人くんから容赦ない突込みが。
......うっ。
ば、馬鹿な女......。
衝撃を受ける。
わ、私、そんなにバカだったんだ......!
固まってる私をよそに、また陽詩と悲夢くんたちと難人くんだけの話し合いが始まった。
「ちょっと、心空にそんなこと言わないでっ......」
「心空に、バカとか言うなー!」
「そーだ!」
「は、別にいいだろ。底辺な争いやめろ」
「「やっぱりこいつ、のり悪くって、愛想がなくって、素直じゃなくって、失礼な奴だ!!!」」
「え、いや、違うと思うよ......⁉」
「「いやいや、こいつをずうっと見てればわかるさ‼」」
「いやいやいや、確かにそうだけど! ずうっと見てるわけじゃないし、そんなに良く知らないけど‼」
私は交わされている言葉を理解し、話し合いに入った。
大きな声を出す。
「けど............、そんなに悪い人じゃないと、思う......」
だんだんと声が小さくなってしまう......けど、みんなに聞こえるくらいの十分な大きさで、そう告げた。
難人くんは、はっきりとモノが言える。
心と体はつながってるから、はっきり言えるってことはいざという予想してないことにも冷静に対応できるんじゃないかな。
私はあの時、あの夢を体験した時、“あの人”に、大きな赤い華が咲いた時。
その赤い華が真紅の雨を降らせた時。
ただ見て、叫んでることしかできなかった。
けど、きっと、そんなときも、難人くんなら――。

